WORLD RACECOURSES · RESEARCHED 2026
世界共通の「競馬場台帳」はない。そこで2024〜2026年の統括団体・主催者・公的機関による一次資料と開催日程を突き合わせ、平地・障害・ハーネスなどを同じ施設ごとに名寄せした。
IFHAのAnnual Report 2008(2009年公開)に掲載された、平地・障害・速歩と併用場を含む世界推計。これと同じ定義で更新された世界総数は確認できず、2026年現在の正確な現役数は不明である。
元稿の「サラブレッド700場以上、ハーネス込み1,000場超」という下限表現だけでは、世界全体の規模を特定できない。一次資料で確認できる世界横断値は、IFHAのAnnual Report 2008で示された約1,500場だった。ただしこれは2026年の全数調査ではない。最も正確な書き方は、資料名を隠さず「世界は約1,500場規模と推定されてきたが、現在の確定値はない」とすることである。
- 世界合計は、同じ定義で全種目を対象にしたIFHAのAnnual Report 2008掲載推計を基準にする。
- 近年の2024/25実績または2025/26日程は、現在の国別規模と開閉場を確認するために使い、完全な世界合計には見せない。
- 同一施設に芝・ダート・障害・ハーネスの複数コースがあっても1場。クラブ数とも分ける。
- IFHAの約1,500場は、原文どおり平地・障害・速歩とその併用場の推計として扱う。近年の国別表は、各統括団体が対象とする種目を個別に明記する。
- 調教専用施設、単発の草原競走、競馬を行わない馬術競技場は原則除外。全国台帳のない国は、一次資料で「確認できた下限」または「総数不明」とする。
なぜ正確な「世界合計」が出ないのか
最大の問題は定義と重複である。たとえばフランスでは、2024年に全種目の競馬を開催したユニーク施設が233場ある一方、UETの2025年報はハーネス競馬場を211場とする。基準年は1年ずれるが、「全種目233場+ハーネス211場」と足せないことは明らかで、多くが同じヒポドロームである。
もう一つは、国際統計が全世界を覆わないこと。IFHAは主にサラブレッド競馬を扱い、欧州ハーネスのUET、北米の州・州祭、インドネシアやイランの地方競馬などは別体系にある。IFHAのPart I〜IIIも国の競馬場数ランキングではなく、国際セリ名簿での競走格付け区分である。
元稿から変わった結論
同じ定義で更新された世界全数の一次資料は見つからなかった。数字を作って穴を埋めるべきではない。
根拠はIFHAのAnnual Report 2008(2009年公開)に掲載された推計であり、現在値ではない。資料名と公開年を付けて使う必要がある。
UETは2025年の欧州ハーネス415場、Racing Australiaは2024/25年のサラブレッド354場、IFCEは2024年のフランス233場を公表している。
インドネシア、イラン、ウクライナは競馬の存在と公式開催地を確認できる一方、全国総数がない国は「総数不明」または「公式確認下限」として分けた。
結論
現在の一次資料から言える最も誠実な答えは、「世界の競馬場は約1,500場規模と推定されてきた。ただし、その世界推計は2008年で、2026年現在の正確な現役数は不明」である。最新国別資料はこの規模感を考える材料にはなるが、対象種目と施設の重複をそろえた世界全数にはならない。
2026年の世界確定値 = なし
「約」「以上」「総数不明」は誤差表示ではなく、資料の定義、全国公式台帳の欠如、または開催状況を施設単位で完全照合できないことを示す。閉鎖予定・開場予定は調査日時点で開催前なら算入していない。
近年の一次資料で見える規模8件
平地・障害・速歩・併用場を含むIFHA Annual Report 2008掲載推計。
UET加盟国のハーネス競馬場。ガロップ専用場は含まない。
全種目の開催施設。海外県2場を含む。
サラブレッド競走を開催したトラック。ハーネス等は別。
HISAが「規則下で稼働」と掲載するサラブレッド競馬場。米国全種別の総数ではない。
USTAが「currently active」と掲載するハーネス場。平地との共用場あり。
HISAの41場との共用施設や対象外開催があるため、「41+32=73」とは数えない。
NHA統計。旧稿の10を訂正。
国営SORECが運営・掲載する競馬場。旧稿の10を訂正。
抜けていた3か国を一次資料で確認3件
PORDASI、警察、地方政府の公式情報で、Sultan Agung、Tegal Waton、Legok Jawa、Gelora Lifu Batu、Prailiu(Rihi Eti)、H.M. Hasan Gayoの実開催を確認。全国公式台帳は見つからない。
IFHA・IFAHR加盟で競馬実施国であることは確認できるが、現役競馬場の全国総数を示す信頼できる一次資料は見つからない。
IFHAの2019年欄には「競馬場600、競走610、出走馬600、延べ出走400」と整合しない値があるため、600は採用していない。
キーウ市議会資料で競馬場の存在と2023年シーズンの開幕を確認。2026年の戦時下における全国現役総数を示す一次資料は見つからない。
一次資料が直接示す主な国別数値10件
JRA 10場+地方競馬15場。帯広のばんえいを含む。
BHA所管の平地・障害競馬場。ハーネスは別体系。
TJK公式競馬場一覧。アンタルヤを含む。
公式日程に掲載された5開催場。
沙田、ハッピーバレー。従化はこの2場に含めない。
MetroTurf(Malvar)とThe Horsemen’s Track(Padre Garcia)。
セランゴール、ペラ。ペナンは2025年5月で終了。
リヤド、ターイフ。旧稿の4を訂正。
アル・ライヤン、アル・ウクダ。
Rashid Equestrian & Horseracing Club。
ここにない国を「0場」としたわけではない。全国総数を直接示す一次資料、または再現可能な網羅的公式一覧を今回確認できた国だけを載せた。
主要出典
- IFHA Annual Report 2008、IFHA公式案内(2009年10月7日付、10月5日公開と記載) — 平地・障害・速歩・併用場を含む世界約1,500場という掲載推計。
- UET Annual Report 2025 — 欧州21か国、ハーネス競馬場415場と国別内訳。
- IFCE / フランス馬産業2025主要数値 — 2024年開催233場。
- Racing Australia Fact Book 2025 — 2024/25に使用されたサラブレッド354トラック。
- USTA Track Information — 2026年の現役ハーネス場一覧。
- PORDASI Triple Crown 2025、Merdeka Cup 2025、NTT州警察 Kapolda Cup 2025、東スンバ県 Humba Cup 2025、アチェ州警察 2025年公式発表 — インドネシアで2025年に実開催された6施設以上の確認。
- IFHA Iran 2019 numerical statistics — 採用しなかった異常値の原表。
- South Africa NHA 2024/25 Stats Card、Morocco SOREC。
- International Cataloguing Standards Book 2025 — Part I〜IIIの正式区分。
- British Horseracing Authority 2024、TJK競馬場一覧。
- キーウ市議会、キーウ競馬場のシーズン開幕発表。
- HISA Racing Jurisdictions — 現在HISA規則下で稼働する米国競馬場。
- JRA競馬場・ウインズ等、NAR 地方競馬の競馬場。
- HKJC Racecourse Entertainment、IFAHR: Islamic Republic of Iran。
- Philippine Jockey Club、Philippines Games and Amusements Board、Malayan Racing Association、Penang Turf Club 2025年5月31日公式結果。
- Emirates Racing Authority 2025/26日程、Jockey Club of Saudi Arabia、QREC 2025/26日程、Bahrain Turf Club。